本プロットは二次創作小説として執筆していますが、映画「CASSHERN」に携わった
   監督及びスタッフの方々の著作権を侵害する意図はありません。
   監督の意図したストーリー展開を否定する意図はありませんが、私たちは問題の解決を
   他の惑星に託す展開に幾分疑問を持ちました。
   また、アニメとは異なる別の作品であることに異論はないのですが、最低限、ヒーロー物と
   して鉄也の側面を忘れずに、この作品を観たかったという感慨があるのも事実です。
   ここでは、もう一人の管理者「アイ」さんが提出した原案をもとに、
   私こと「優衣」が補筆・校正をし

   「私たちが観たかったバラシン戦以降のもう1つのキャシャーン」

   を表現してみようと思います。
 



 「守護神キャシャーン」
  * バラシンとの決闘シーン、倒れるバラシンのシーンから

  「そうだったのか・・・・俺はゆるすよ・・・・」
  「おまえは俺が勝っても、この町の人を救ってくれといったな」
  「そうだ」
  「なら、おまえが勝利した今、俺にも頼みがある・・・・アクボーンとブライを・・・
  残された者たちを救ってくれ・・・彼らをひとりぼっちにしないでくれ」


  バラシン、倒れる。駆け寄るキャシャーン、


  いきなり、バラシンのスーツの指先に仕込んだデータ・アクセス針を鉄也の
  脊髄辺りに刺す・・・うめく鉄也、だがバラシンはそのまま息絶える。

  そのとき「老医師」が現場にいることに鉄也は気づいた。

  「君が彼を殺したのかね。彼は私の・・・・」

  鉄也の中に広がるイメージ、それはあのバラシンからの記憶なのか?
  鉄也が言葉を発する前に、老医師は言葉を続ける

  「私は今ここで君を撃つこともできる。さっき君がいったようにな。
   だが息子はゆるすといった・・・・来たまえ」


  老人はその体躯からは想像できない力で、バラシンの遺体をかつぐと
  鉄也についてくるよう合図した。
 
  老医師の家に遺体を安置すると、彼はそのまま第七管区のはずれにある
  地下室に鉄也を案内した。

  
  
  見慣れない物体・・・その翼を持つ機体には,
  武装らしきものはついていないようだった。
  だが,亜細亜連邦の醜い独裁者の顔を持った
  爆撃機はもちろん、
  彼我のいかなる航空機や、ブライ達の飛空艦を
  しのぐ速度を秘めて,1人乗りの機体は,流麗な
  蒼空の青の翼を広げていた。



   「これは、あの城からそう遠くないところから村の者達が持ってきたものだ。
    君にはこれが何かわかるか?」

   老医師は,それがいつからその場所にあったのか,いつ出現したのかも
  わからないのだと語った。

  
  見覚えはない、だが先ほどのバラシンの行為が何かの作用をおよぼしたのか、
  それがどのようなものか鉄也には分かっていた。

  「僕は新造人間として、そしてキャシャーンを名乗るものとして、彼等の長を止めに行きます」


  上條中佐はブライの城に向かう
  (父、上條将軍の電話シーン、クーデターの失敗の描写は同じ)
  だが、既に主力はもぬけの空だった。


   一方ブライ達の本隊
   (新造人間達が4人以外にも生き残っていたという設定として)
   彼等は上條将軍の本拠地の帝都を飛空艦隊とロボット軍団とで空爆していた。

   混乱の中、上條将軍の今回の失態をなじる配下の将校達により、上條将軍は暗殺される。

    そのことを乗機の上で知った上條中佐は、父の死に対し複雑な思い。
    だが「全軍を帝都へ。新造人間どもから我々の都市を奪回する」

  今、鉄也は「キャシャーン」として、ルナを取り戻し、東博士、父の真意を
  確かめるために、そして自らに課した約束を果たす為に帝都へ急ぐ


   帝都を占領したブライ達新造人間達、
   だがまだ亜細亜連邦軍との戦闘は続いている。

   研究所に赴くブライ
 
   内藤:「冗談じゃない、私は拒否する。
       僕が夢を追うのは人間のためで十分だ。
       博士、同じ下層階級出のあなたなら分かるでしょう!」

   ブライ:「ではここから立ち去れ」

  東博士、内藤を射殺する。
       「君は、自分の為に夢を追ってるだけだ。だが私はミドリの為に研究を続ける」

   そこに青麗の機体で空を切って乗り付けた鉄也が乗り込んでくる。
 
   ブライは、鉄也に「人を滅ぼし、共に新造人間による国」を造ろうと語るが、鉄也はいう

   鉄也:「俺は拒否する。誰かが優位で他を支配するなんて間違っている!」

   東博士、ルナを連れてくる。
       「君たちには、愛する人を失うことがどういうことか分からないようだな」

   狂気の目で今度はルナに銃口を向ける東博士。
   弾は急所を外れたが、ルナをかすめる

   そのころ、上條中佐の軍隊は帝都に到着、中佐本人は
   ブライが研究所にいることを知ると、密かに小型艇を乗り付けた。

   壁が壊れ、小型艇が突入、衝撃で培養槽が決壊、
    液が実験体の保管庫にも侵入し、さらなる再生が始まる。
   浸ったルナを抱き上げるブライ、鉄也が我に返る。

   ブライ:「東博士、貴方は、罪なき人をも殺めるのか?」

  しかし、東博士は、崩れ落ちた壁に挟まれ虫の息だった
  培養槽の再生液が流れるのを薄れる意識の中で見つめる。
   東博士:「私のミドリが・・・・」

   鉄 也:「父さん、あなたは一体何をみてきたのですか!」

   上條中佐が歩み寄ってくる
        「鉄也君、君には新造人間は、ブライは殺せないだろう。
          なぜなら同じ東博士を父に持つ兄弟のような存在だからな。
         だが、私は違う」

   新造人間の由来を語る上條中佐
        「命というものが1つでないなら、一体生きることに何の価値があろう」

  内藤を見つめる中佐

  ブライに語る中佐(詳細は劇場の本編に同じなので略)
       「・・・・・東博士から聞いたように、おまえ達はただの人間だったのだよ」

   ブライ:「ああ、聞いたさ。だがそんな戯言を認めるわけにはいかん!
        我らはあの稲妻によって産まれ変わったのだ、貴様達人間どもとは違う!」

  あのときと同じように再生する死体たちの中での混乱

  上條中佐:「では私からもいわせてもらおう!
          我々亜細亜民族がお前達のようなけがわらしい
          オリジナル・ヒューマンから産まれたという事実すら私には耐え難い」

        「所詮我々は民族優位を掲げ、同じ過ちを繰り返す人間なのだ、
         お前も我々人間を支配したら同じ存在になる。きっとな、
         なぜならお前はただの人間だからだ!」

    ブライ:「黙れ!」
   向かってくるブライの拳により、突き破られる上條中佐、しかしその手には手榴弾が

    鉄 也:「危ない!」

    鉄也は新造細胞を取り込み、息をふきかえしたルナをかばう

   相打ちとなったブライが炎の中で息絶える
    ブライ:「「私には・・・・何も見えないぞ・・・・」
   そして、ルナと鉄也、ミドリの遺体を最後に仰ぎみる。
   奇しくも博士の遺体はミドリと手を結ぼうとしたかのように伸びているが・・・
   しかしミドリには届かなかった・・・


  エピローグ

  亜細亜連邦の大陸の拠点都市、その中で事件は起こった。

  各民族が蜂起し、混乱の中、他の将軍達が即位したが、もはや独裁者の威光はなく、
  亜細亜連邦の大陸での拠点は撤退・縮小を余儀なくされ、第七管区を始め
  いくつかの管区は独立を取り戻した。

   あの日、混乱の中、鉄也達は生き残った新造人間、
   そして自由を信じる人を引き連れ、鉄也達は 亜細亜連邦を脱出した。
   ルナと共に。

  結局あの培養液の奇跡は,それ限りのものでいあったようだった。
 
  事件後、亜細亜連邦本土はおろか,かの地域が連邦の一部から自治領となったのを
  幸いに、ヨーロッパ連合の科学者や生物学者までもが調査に訪れた。

   しかし新造人間を産んだあの培養液の組成すらついに解析出来なかった。

   まるで、あの稲妻が崩れた時、培養液が流れ去った時に奇跡も
   同時に消えてしまったかのように。

   再生医療の道は生物への負担を減らす為に、自然環境の回復を促しながら、
   同時に地道な進歩を待つしかなさそうだった。
 
   それでよかったのだと鉄也は思っている。
 
  父の研究は方向は間違っていなかったのかもしれない、だが、進むべき手段と
  目的は歪んだものだった。
  それが軍や将軍達の利害と一致したことが悲劇と暴力の始まりであった。

  鉄也はもう、あの煤けて歪んだ拘束具を身につけてなどいない。
  稲妻が崩れて以来、人間離れした力も去ってしまった。
  
  今鉄也はあの重く、暑苦しいスーツを脱ぎ、辺りの空気や相手、
  そしてルナの感触を自由に感じ取ることができる。
  それは幸せなことに違いない。

   多くの人を失い、一人っ子だった鉄也にとって唯一の肉親も失い、
   その上、兄になれたかもしれない存在を失った痛手は彼を
   脱出行の間も悩ませた。

    そんな中でもルナと鉄也は、互いにわかり合おうと膚を重ねた。

   父は最後まで母ミドリを本当の意味で理解出来なかった。
   そのような後悔を、不幸なすれ違いをしないためにも。

   鉄也達の前に見えてくるキャシャーンの像
 
   迎える民が鉄也達をみて口々に叫ぶ
   「あれは・・・キャシャーン・・・」
 
  本当の意味で新造人間の血を宿したもの

  「希望」、それがルナと俺の子供だ・・・・  
         
                                  
 (最後にカメラがパンして、雲の上にカメラ引く。そこにはキャシャーンの像が・・・

 その像はブライのようにも見え、また鉄也のようにもみえる

 雲の上にさらにカメラは上昇・・・ものすごい早さで・・・・星々に散る

 雲の背景から雲海が流れ、スタッフロールへ・・・)
 


 FIN